全国ご当地エネルギー協会リレーエッセイ19
飯舘電力株式会社 専務取締役 千葉 訓道氏
飯舘村は、森林や田畑が広がり、牧場には牛が遊び、花を愛する村民の家々には季節ごとの花々が咲き誇る美しい村でした。
しかし、2011年3月11日以降、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、先祖が長年培ってきた田畑・森林は甚大な被害を受けました。畜産といった生活の糧となる産業も、自然と共生していた暮らしも放射能に奪われ、村民は理不尽にも離村を余儀なくされ全村避難の状態が続いています。
事故後4年が過ぎるなかで村民の有志が集い、自らの手で地域を次世代に渡すために、飯舘の資源を利用し再生可能エネルギーによる「ふるさと飯舘村産業創造」を行なうことといたしました。
そして設立したのが、飯舘電力株式会社(本社飯舘村)です。昨年9月29日に〝村民の、村民による、村民のための〟電力会社として立ち上げました。
私たちは、村民自ら未来を選択し、行政と手を携え、新産業を創出し、若者に雇用の場を提供したいと考えています。植民地のように扱われることなく、村が中央資本に収奪されることのない、自分たちが今後の飯舘の地域を考え、産業を興し自立することを事業として進めてまいります。
まずは、再生可能エネルギーとしての太陽光発電事業、バイオマス発電事業を行います。そして売電収入をベースに、植物工場や研修施設の設置運営、世界に向けた情報発信事業、帰村拠点の運営事業等を行っていく予定です。
先ごろ、飯舘発電所第1号となる太陽光発電設備を村役場の前に設置し、2月21日より発電を開始しました。出力は50kWと小規模ではありますが、これを第一歩として飯舘村の再興に向けて全力で取り組んでまいります。そして村民の自立を促し、自信と尊厳を取り戻すために尽力してまいります。
飯舘村民の取り組みに、ぜひともご注目ください。そしてこれからも、ご支援のほど宜しくお願いいたします。
『新エネルギー新聞』第23号(2015年4月6日)掲載