全国ご当地エネルギー協会リレーエッセイ13
市民エネルギーちば合同会社 代表社員 東光弘
東京に隣接し東部に大きな都市・工業地帯を抱えながらも、北海道・茨城に次ぐ農産物生産量の千葉県ですが、西・南部の農村地域の高齢化・人口流出は著しいものがあります。
311以降、東京やその他の再エネ市民団体に比べて遅れてスタートした千葉での市民発電の流れですが、県内環境団体の有志9名が集まり、その地域特性を活かそうということで『ソーラーシェアリングによる市民発電所』に特化した『市民エネルギーちば合同会社』を2014年7月に設立しました。
千葉県市原市にはソーラーシェアリングの発案者・長島彬さんの実証試験場があり、その発祥地であること、私自身が20年以上有機農産物の流通に従事していたこともその大きな要因となっています。
2013年3月31日農水省通達により農地上空での発電事業に対して正式に認可が始まりましたが、その最も大きな必要条件が設備下部にて健全な営農が義務付けられていることです(収量20%減まで可)。この条件は発電事業だけをとってみると非常に大きなハードルになるのですが、地域再生という観点で見てみると『願ったり・かなったり』という側面があります。
9月に通電した千葉県匝瑳市の弊社1号機が完成し、順調な発電と全く遜色ない収穫が達成できたことで、早くもこの地域で様々な動きが始まりました。
- 数町歩にわたる耕作放棄地にて地域の皆さんとメガ単位でのソーラーシェアリングの設備認定を年内に行います。地域の皆さんが発電事業者となり、20年間の耕作を安定的に行うための農業生産法人も設立の運びとなりました。
- 2015年弊社2号機の建設・他団体からの同地域への設置申込・地域の農家さんからの問合せなども届くようになりました。
- ソーラーシェアリングに関心ある多くの方々が同地を見学やボランティアに訪れていただいています。
ソーラーシェアリングを軸にどこまで地域再生に貢献できるかがこれからの課題です。「パネルオーナーへの支払に設備下で収穫した農産物を活用する」「継続的な耕作体制の構築」「地域農家さん導入時の資金調達方法の開拓」「収穫物の販路確保」など、様々なことを地域の皆さんと膝を突き合わせて実現していきたいと思います。
皆様のご来所を、心より歓迎させていただきます。
『新エネルギー新聞』第15号(2014年12月15日)掲載