多摩電力合同会社(たまでん)は、東日本大震災後の自然エネルギー普及の市民運動が元になって2012年10月に設立した、屋根借り太陽光発電事業を主体とした事業会社です。(取材・記事 高橋真樹) 右から多摩電力の山川勇一郎さん、山川陽一さん、多摩エネ協の桃井和馬さん 概要 事業社名:多摩電力合同会社(通称:たまでん) 本拠地:東京都多摩市 ステータス:事業開始/開発中 設立の経緯と事業概要 たまでんの母体となった組織は、一般社団法人多摩循環型エネルギー協会(通称:多摩エネ協)です。多摩エネ協は、福島原発事故を受けてエネルギーのことを真剣に考えようと集まった人々が立ち上げたグループです。2012年度の環境省公募委託事業である「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」に申請し、採択されました。事業を実施するために、事業会社であるたまでんを設立しました。 事業の仕組みとしては、市民から「たまでん債」というファンドの形で資金を募り、公共施設や集合住宅などの屋根に太陽光発電パネルを設置。電力を売電して、利益の一部を出資者に分配し、また、配当の一部を寄付金に充てる、可能な限り地元事業者を使う等、公益性の強い高いソーシャルビジネスです。事業化検討協議会のメンバーでもある多摩市の全面的協力や、地元の金融機関である多摩信用金庫からの融資も受けることになっています。 特徴 たまでんの特徴は、何と言っても、この地域がこれまでエネルギーを消費するだけだった都市部に近いベットタウンであること。また、エネルギーの地産など無理だと思われていた地域で、少しでも自給率を増やしたいというのが関係者の強い思いです。多摩にはメガソーラーを設置できるような広大な土地はありませんが、人口のおよそ7割が集合住宅に住んでいるという多摩市の特長を活かして、団地や公共施設の屋根にパネルを設置しようと計画しています。 設置設備と規模(2013年7月末現在) 恵泉女学園大学の校舎に設置された第一号機 発電設備第一号は恵泉女学園大学第二校舎の屋根に出力30キロワットの太陽光発電パネルを設置、2013年6月から売電を開始しています。また、第二号は有料老人ホームに約70キロワットの設備の設置が決まっています。(2013年秋ごろ設置予定) 今後の展望 将来的には多摩市だけでなく、八王子市や町田市など四市にまたがる多摩ニュータウンエリアを中心に、段階的に多摩全域に広げていく予定にしています。計画では、まずは2013年度中に合計出力1,000キロワットの設備の設置をめざしているところです。 ステークホルダー 関連組織:一般社団法人多摩循環型エネルギー協会 自治体:多摩市 金融機関:多摩信用金庫/トランスバリュー信託株式会社 プロジェクトのキーパーソンから 山川陽一さん(多摩電力合同会社 代表) ”3.11の東日本大震災と福島第一原発事故は、私の人生観を根底からかえるものでした。多摩地域で、住民自らの手で太陽光発電事業を行い、みんなと一緒に本気で日本のモデルになるようなソーシャルビジネスに育てたいと考えています。私たちの活動の規模は、大企業のメガソーラーなどから見ればちっぽけなものです。でも地域にメリットをもたらすために市民が動くことは、日本の社会の枠組みを変えていく可能性がある。その価値を共有して、地域の多くの方がプロジェクトに関わってほしいと思っています。” お問い合わせ 多摩電力合同会社 〒206-0024 多摩市諏訪1-65-1 永山ハウス103号 関連リンク 多摩電力合同会社 http://tama-den.jp/ 一般社団法人多摩循環型エネルギー協会(多摩エネ協) http://tama-enekyo.org/ (取材・記事 高橋真樹) PrevNext