地域主導で再生可能エネルギーに取り組む各地の事業者・団体によるネットワーク「全国ご当地エネルギー協会」が7月4日、北海道札幌市で設立1周年記念シポジウムを開催した。


「全国ご当地エネルギー協会設立1周年記念シンポジウム」開催

シンポジウムは、協会代表幹事の佐藤彌右衛門氏(会津電力代表取締役社長)、北海道地区幹事の鈴木亨氏(北海道グリーンファンド理事長)による挨拶でスタート。この中で佐藤氏は、原発事故のあった福島県で再生可能エネルギーに取り組むことへの想いを語り、鈴木氏は「今での電力会社ではなく、地域のための市民のための電力会社を全国津々浦々に作っていきたい」と抱負を述べた。

続いて行われた記念講演には、金子勝氏(慶応義塾大学経済学部教授)が登場。「エネルギーと食とお金を地域で回す」というテーマのもと、アベノミクスの実態を戦時中の政策と同類だと断罪し、このままでは日本は滅びてゆくと警鐘を鳴らした。そして、「地域が生き延びていくためには、エネルギーや農業など、地面に根が生えたような産業をどうやって創っていくかを真剣に考えなければならない」と訴えた。

Kaneko_Masaru

シンポジウムのクライマックスは、それぞれの地域で再エネ事業に携わる女性たちによるパネルディスカッションだ。パネリストは、井上保子氏(宝塚すみれ発電 代表取締役)、豊岡和美氏(徳島地域エネルギー 理事・事務局長)、服部乃利子氏(しずおか未来エネルギー 代表取締役社長)、坂本純科氏(北海道エコビレッジ推進プロジェクト 代表)。地域の人たちを巻き込んでいく仕掛けづくりの大切さなど、これでの経験を踏まえた多様なテーマを語り合った。

Panel_Discussion

最後を締めくくったのは、同協会事務総長の飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)。「去年、世界で新しくできた電源の6割は自然エネルギー。原子力はほとんど増えていないし、化石燃料よりも自然エネルギーの方が多かった。去年、世界全体で自然エネルギーに投じられたお金は35兆円。これは石油・石炭・天然ガス・原発、全てを合わせた投資額よりも大きい。世界中で、化石燃料そして原発から自然エネルギーへというエネルギー革命が起きている。そしてもう一つ、大規模集中独占型から小規模分散型へという地域エネルギー革命が同時に起きている」と述べ、ご当地エネルギーの未来を照らし出した。

この日の参加者は、定員いっぱいとなる約130名。自然エネルギーを活かして、真に豊かな地域社会を築くべく、貴重な時を共有した。

「新エネルギー新聞」第30号(2015年7月13日)掲載