全国ご当地エネルギー協会リレーエッセイ16

一般社団法人大磯エネシフト 理事長 岡部幸江氏

点灯式でランプがついた瞬間(岡部理事長がスイッチオン)
点灯式でランプがついた瞬間(岡部理事長がスイッチオン)

海と山、自然に恵まれた神奈川県の小さなまち大磯でも、東日本大震災直後から自然エネルギー社会への転換を願う有志が活動を始めました。節電教室、勉強会や上映会、町へPPS(新電力)への転換を求める陳情(採択、約400万円の経費削減)などの取り組みを続けてきました。

そして私たちは、地域の自然エネルギー普及啓発を進めるために2013年12月、一般社団法人大磯エネシフトを設立。翌年4月には屋根を無償で貸してくれたマンションオーナーのご厚意のもと、第一号として15kWの太陽光発電所を始めることができました。

大磯エネシフト設立まで、そして設立後は理事の一人として、理論・実践の両面で支えてくれたのが大磯在住の環境社会学者・舩橋晴俊さんでした。地元大磯の郷土を愛し自然や景観を守る住民運動にも積極的で、理想を語るだけでなく自ら行動する姿を誰もが敬愛していました。

2014年夏、精神的支柱を失った私たちは遺志を継ぐ多くの方々とともに力を尽くそうと想いを新たに刻みました。それから半年後、2015年1月25日、多くの方のご理解ご協力を得て、第二号事業の「みんなの発電所」をカトリック大磯教会に開設することができました。おひさまから生まれた電気を福島の子どもたちの支援につなげるとともに、福島の事故を忘れず自然エネルギーへの転換を目ざすシンボルにしたい。そうした想いのもと、3年越しの協議を重ねてきた「みんなの発電所」の誕生です。

点灯式には賛助会員、寄付で応援してくださった方々など、多くの皆さんが参加。エネルギー条例を制定したばかりの町議会と町長はじめとする町の関係者、設計・施工を請け負ってくれた町内の事業者、そして場所を提供してくださった教会の関係者など、想いを同じくするたくさんの方々が共に祝ってくれました。

大磯町では今年4月から再生エネ利用推進「環境課」新設も決まりました。私たちの取り組みはまだとても小さなものですが、行政との協働を進めている各地の先例に学び、3万人のまちからエネルギーシフトを目指してこれからも走り続けます。

3・11福島が、持続可能な社会への転換点だったと歴史に刻まれることを信じて。

カトリック大磯教会の庭に開設した「みんなの発電所」 点灯式を祝って記念の一枚
カトリック大磯教会の庭に開設した「みんなの発電所」
点灯式を祝って記念の一枚

 

『新エネルギー新聞』第20号(2015年2月23日)掲載