【メディア掲載】手探りで始めた市民発電所

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全国ご当地エネルギー協会リレーエッセイ6
非営利型株式会社宝塚すみれ発電 代表取締役 井上保子氏

宝塚すみれ発電所第1号の点灯式にて。井上氏は「全国ご当地エネルギー協会」の近畿地区幹事も務める。

宝塚すみれ発電所第1号の点灯式にて。井上氏は「全国ご当地エネルギー協会」の近畿地区幹事も務める。

私たちは脱原発の世の中を願い、実現に向けて活動を続けていました。チェルノブイリ原発事故以降は、ベラルーシへの支援活動を通して彼らからの「わたしたちのようにはならないで」という言葉を胸に刻み、原発以外の道を選ぶべきだと訴えてきました。

それなのに日本は福島原発事故という大事故を起こしてしまい、心底悔やみました。そこから頭のスイッチを完全に切り替えたのです。「再生可能エネルギーによるまちづくりをすすめましょう。できることは何でもやりましょう」と、行政にも市議会にも訴えたのが2011年6月のことです。

今までと同じことをしていてはダメ、行政とも反目しあうだけの仲であっては前に進めない。2012年4月に宝塚市の新エネルギー推進課が出来たのを機に、私たちも新たにNPO法人「新エネルギーをすすめる宝塚の会」を立ち上げました。当初を思い出しても苦笑するギクシャクした関係の中で、一歩ずつ歩み寄り始めます。

行政の催すセミナーに参加するうちに、少しずつ新たな仲間が増えてきました。土地の提供者や電気事業者との幸運な出会いがあって、「市民発電所を作ろう」という声が沸き起こり、2012年12月には宝塚市初の市民発電所「宝塚すみれ発電所第1号」が市内北部地域に生まれました。太陽光発電設置工事も自分たちで行った手作り発電所は、11.16kWと小規模ですが今日も立派に発電しています。建設資金も補助金に頼ることなく、全額を疑似私募債でまかないました。

そして、2013年11月に待望の第2号を47.88kWの規模で建設。このころにはNPO法人で事業展開することの難しさに気づき、合同会社を立ち上げ管理運営することにしました(現在は非営利型株式会社に組織変更)。建設資金の調達は、銀行融資と社債発行などを組み合わせて行ないました。

こんな私たちの動きに兵庫県も支援事業を作ることで応援してくれています。そして、宝塚市ではモデル事業として市民発電所に取り組むことになりました。市内の小学校と市有地を使って再生可能エネルギーによる発電所を作る事業に、私たちの会社が全面的にかかわります。宝塚市では今年6月に「再生可能エネルギーの利用の推進に関する基本条例」が制定されました。行政も市民も一丸となり、これからの自分たちのエネルギーを作っていこうとしています。私たちのチャレンジは始まったばかりです。

宝塚すみれ発電所第一号の(敷設工事)完成

宝塚すみれ発電所第1号の(敷設工事)完成

『新エネルギー新聞』第8号(2014年9月8日)掲載