オフグリッドの電力自給の町づくり – 藤野電力

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誰もが使える太陽光充電バッテリー(写真:高橋真樹)

誰もが使える太陽光充電バッテリー(写真:高橋真樹)

■ 概要

グループ名:藤野電力
拠点:神奈川県相模原市(旧藤野町)
カテゴリー:市民グループ

■ 設立のきっかけと事業概要

藤野電力は、2011年3月の原発事故をきっかけに設立された主に旧藤野町の住民が運営するグループ(任意団体)です。電力を少しづつでも自給しながら、持続可能なライフスタイルをしようという提案をしています。
藤野電力の母体となったのは、トランジション・タウン藤野という地域に根ざしたゆるやかなネットワーク組織です。2005年にイギリスではじまったトランジション・タウン運動は、過度に消費社会が進み、化石燃料を使用し続け、環境汚染を招いている現在の社会を転換することをめざす活動で、それ以降、世界各地に普及するようになりました。2008年には日本でもトランジション・ジャパンが設立され、各地でそれぞれの地域の実情にあわせた形の活動が始まりました。
トランジション・タウン藤野のメンバーは、藤野電力をつくる前から森を手入れして間伐材を活かす活動や、地域通貨を導入するなど持続可能な地域を作るための活動を活発に行ってきました。そして、3・11の震災と原発事故をきっかけに、これまでブラックボックスになっていた電気も自分たちで手がけようと考えます。グループは話し合いを重ね、現在の活動を形作ってきました。
主な活動は大きな発電設備を作ろうというものではなく、小さな電力を自分の手で生み出すことから初め、いろいろとできることがあることに気づいてもらうという啓発的なものになっています。また、独立電源(オフグリッド)を各地に作り、大きな電力会社への依存度を減らしていく、電力の地域での自給を目指した活動を多く行っています。

■ 特徴

太陽光パネルワークショップでライトを点灯させる(写真:高橋真樹)

太陽光パネルワークショップでライトを点灯させる(写真:高橋真樹)

藤野電力の大きな特徴は、事業として活動を行うのではなく、それまで電気のことは大手電力会社がやるものだと考えていた多くの人たちに気づきを与えるきっかけをつくっていることにあります。
専従スタッフも置かず、活動経費も少ないのですが、逆に組織を維持するために活動する必要がないので、自由なチャレンジをすることができるというメリットもあります。
先に挙げたミニ太陽光発電キットづくりのワークショップは全国に出張して開催。今では藤野電力の代名詞のような活動になっていますが、2013年10月時点で、1,000人以上がキットを制作を経験しました。

100%自給プロジェクト用のパネル(写真:高橋真樹)

100%自給プロジェクト用のパネル(写真:高橋真樹)

また藤野電力では、活動の拠点となっている廃校(旧牧郷小学校)の電力を、100%自然エネルギーに変えるプロジェクトも2012年から手がけて、2013年10月の段階でシステムを完成させました。これは、大学の研究室から譲ってもらった古い太陽光パネルを利用して設置しています。古い校舎のエネルギーを、古いパネルでよみがえらせるというのは、なんでもお金をかければ良いという世の中に一石を投じる新しい発想だと思います。

2012年のひかり祭りよりIMG_1759

2012年のひかり祭り(写真:高橋真樹)

藤野電力ではこれまで、数々のイベントを自然エネルギーの電気を活用して実施してきましたが、中でも最も力を入れているのがこの旧牧郷小学校を舞台に毎年実施されるひかり祭りです。ひかり祭りは、アーティストの多い藤野で、「廃校から希望の光を灯す」ことを掲げて開催されてきた地域のイベントです。2013年は記念すべき10周年となり、10月25日〜27日の3日間にわたって行われました。2013年のひかり祭りの様子や、そのお披露目となった牧郷小学校100%自給プロジェクトについては、オルタナの記事で報告しています。こちらからご覧ください。
藤野電力では他にも、町の各地に非常用電源を設置したり、家屋に太陽光パネル2枚分だけの電気を使えるコンセントを導入したりと、新しいスタイルの活動を実施しています。小規模で、事業性がないとはいえ、さまざまなアイデアを出しあい、住民主体でエネルギーを通した町づくりを実践しているという意味では、全国のご当地電力の中でも極めてユニークな存在になっています。

■ キーパーソンからのメッセージ

小田嶋電哲さん(写真:藤野電力)

小田嶋電哲さん(藤野電力エネルギー戦略企画室室長)

”ミニ太陽光発電キットを作るワークショップを始めた理由は、こんなふうにも自分で電気が作れるということを実感してもらいたかったからです。停電になっても安心できるように、照明やパソコン、携帯の充電が使えるシステムにしました。それがいろいろなところで評判をよんで、今では全国から出張ワークショップの依頼が来るようになりましたし、よそでも似たようなことを始めたグループもたくさんあります。
こうして広がっていった理由は、石油や原子力に依存しなくてもぼくらは生きることができるというメッセージが、ちゃんと伝わった結果なのだろうと思っています。原子力から自然エネルギーに設備を変えることは大事ですが、それよりもっと根本的に大事なのは、人の意識とか心の部分を変えることだと思っています。これからもそうした気づきを作れるようなものを、ひとつひとつ形にしていけたらいいですね。”

■ お問い合わせ

〒252-0186
神奈川県相模原市緑区牧野7029牧郷ラボ内
TEL: 080-3448-6090(担当:小田嶋)
お問合わせフォーム

■ 関連リンク

(取材・記事:高橋真樹)

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