地域から広げる省エネコンサルティング事業 – 備前グリーンエネルギー

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19kWの太陽光設備を設置した吉永B&G海洋センター(写真:備前グリーンエネルギー)

19kWの太陽光設備を設置した吉永B&G海洋センター(写真:備前グリーンエネルギー)

■ 概要

事業社名:備前グリーンエネルギー株式会社
本拠地:岡山県備前市
ステータス:実績あり

■ 設立のきっかけと事業概要

備前グリーンエネルギー株式会社の設立の背景は、合併前の(旧)吉永町が産廃問題を住民の力で解決した次のステップとして、「産廃というマイナスをゼロに戻す運動」から「自然エネルギーというプラスを生み出す運動」を創りたいと、当時の町議会議員が飯田哲也氏を訪ねてこられたことがきっかけとなりました。ちょうど先行する長野県飯田市と同じ環境省の「環境経済の好循環のまちモデル事業」の第二年度目(平成17年度)に当たっていました。そこで、ちょうど合併の年に当たった岡山県(新)備前市に、飯田市と同じ「地域エネルギー環境事務所の設立」をコンセプトに据えた企画提案を環境エネルギー政策研究所(ISEP)が全面協力して作成し、採択されたことが始まりとなりました。
この事業を実施するため、2005年9月に「備前みどりのまほろば協議会」が市民・事業者・行政(備前市)のパートナーシップにより発足しました。
協議会が掲げた「持続可能な地域社会を目指して環境に優しいエネルギーでまちづくりを進める」という理念を具体化するための事業会社として、備前グリーンエネルギーが2005年12月に設立します。
飯田市のおひさま進歩エネルギーの事業は太陽光発電が中心でしたが、備前グリーンエネルギーは、当初は太陽光ではなくバイオマスや太陽熱利用、省エネ促進などのジャンルの事業化をめざしました。そうした分野を手がける地域エネルギー事業会社は、当時の日本にはなかったこともあり、社長の武本洋一さんを中心にISEP(環境エネルギー政策研究所)が全面的に協力、事業化の実現に向けた共同作業を行いました。
2006年の事業開始当初は、環境省の補助金と市民出資をもとに、備前市内の施設を対象としたグリーン熱サービス事業と、省エネコンサルタント(ESCO)事業を展開。3年目には、おひさまファンドと連携して市民出資を活かした太陽光発電事業も手がけるようになります。その後は、自己資金と地銀からの融資を元に、自立的なプロジェクトを進めてきました。
現在は、これまで培ってきた豊富な経験を活かして、総合的なエネルギーコンサルティング事業を実施しています。また備前市や岡山県だけでなく、西日本各地域のニーズや実現可能性に合わせたプラン設計を行い、問題解決につなげる地域のシンクタンクとしての機能もあわせもつようになっています。こうした取り組みが評価され、岡山県より「環境おかやま大賞」、経済産業省より「平成24年度省エネ大賞」を授賞しています。

■ 特徴

備前グリーンエネルギーは、西日本の地域エネルギー事業のパイオニア的な存在です。特徴としては、発電事業にとどまらず、事業者への省エネの提言や効率的なエネルギー利用の調査などを幅広く行う、地域のエネルギーコンサルティングを担っていることがあげられます。
備前グリーンエネルギーは設立当初、緑豊かな備前の森を活かした木質バイオマス利用を事業の中心にしようとプランしました。しかし、木材を搬出する費用がかかり採算が合わないことや、ペレットストーブなどが普及していないという入り口と出口の問題に突き当たり、中心的な事業にすることができませんでした。
ただ、こうした課題に工夫をしながらチャレンジしてきた経験は蓄積され、今ではそれぞれの地域に適した省エネ診断や、自然エネルギー設備導入のコンサルティング事業などを幅広く手がけることに活かされています。現在も、様々なケースに適切なアドバイスができるようESCOやエネルギー利用に関する調査研究事業に力を入れています。

■ 設置設備について(2013年9月現在)

90kWの太陽光設備を設置した長崎鉄鋼所(写真:備前グリーンエネルギー)

90kWの太陽光設備を設置した長崎鉄鋼所(写真:備前グリーンエネルギー)

50%の省エネを達成した赤穂ロイヤルホテル(写真:高橋真樹)

50%の省エネを達成した赤穂ロイヤルホテル(写真:高橋真樹)

「光熱費が大幅に削減できました」と語る、赤穂ロイヤルホテルの山本支配人(写真:高橋真樹)

「光熱費が大幅に削減できました」と語る、赤穂ロイヤルホテルの山本支配人(写真:高橋真樹)

太陽光発電事業としては、「環境と経済の好循環のまちモデル事業」のおかやまさんさん発電所(備前市・岡山市・瀬戸内市)や、おひさまエネルギーファンドを通じた市民出資を通して、主に公共施設の屋根や民間企業に設置。これまで設置した太陽光発電設備は合計で23ヶ所、出力は約1215kWになります。
また、主に企業などの省エネを推進するESCO事業によって削減されたCO2の量は約4300トンにのぼります。ESCO事業の一例として、兵庫県赤穂市にある赤穂ロイヤルホテルと共同で2009年2月から「赤穂ロイヤルホテル ゼロエミッションホテルプロジェクト」を進めています。経産省から3分の2の費用の助成を受けて、LED照明や高効率エアコン、ペアガラスや20kwの太陽光発電設備などを導入。約50%の省エネを達成しました。

■ 今後の展望

創エネと省エネを軸にしてコンサルティング事業を進めてきた備前グリーンエネルギーは、現在では備前市や岡山県だけでなく、西日本のさまざまな事業をサポートするようになっています。今後も、エネルギーを貯めることをめざす蓄エネ技術を含め、エネルギーをうまく使っていく方法を、地域内外の事業者に提案していく予定です。
一例として、FIT(固定価格買取制度)導入以降に各地で増えているメガソーラー事業が挙げられます。この1年は、岡山でもメガソーラー事業が増えましたが、他の地域と同様に大手による投資が多く、地域には賃料程度の収入にしかなっていません。備前グリーンエネルギーでは、各地の事業主体と協力しながら、地域経済のメリットになるようなオルタナティブな仕組みづくりを行っています。

■ ステークホルダー

  • 関連組織:備前みどりのまほろば協議会
  • 国:環境省、経済産業省、総務省
  • 自治体:備前市、岡山市、瀬戸内市、赤磐市、和気町(備前みどりのまほろぼ協議会を通じた事業へのサポート、公共施設の屋根貸しなど)
  • 地域金融機関(プロジェクトへの融資など)

■ キーパーソンからのメッセージ

武本洋一さん

武本洋一さん(備前グリーンエネルギー株式会社代表取締役)

”私たちが取り組んできたような地域エネルギー事業は、事業を始めた頃はほとんど知られていませんでした。そのため当初はなかなか理解してもらえず、いろいろな苦労もありましたが、最近ではおかげさまで各地から調査や研究、問い合わせなどの依頼も増え、さまざまなコンサルティングをさせていただくようになっています。
備前グリーンエネルギーは、新しい分野にチャレンジしてきました。そのノウハウを活かし、事業のリスクや可能性などについて適切なアドバイスができると思っています。
とはいえ、地域エネルギー事業を実現するためには、やはりその地域で中心になる人が必要になってきます。確実に実行するためには、ビジネスセンスだけでなく、勇気や覚悟も必要となってきます。ただ、私やおひさま進歩エネルギーの原さんが事業を始めた頃とは違い、今ではそうした事業も一般に認知されるようになってきました。私たちは、そういう人たちのチャレンジをうまくサポートして、地域に省エネや自然エネルギーを広めるお手伝いができればいいと思っています。 ”

■ お問い合わせ

〒709-0224
岡山県備前市吉永町吉永中885
TEL:0869-84-9500
FAX:0869-84-2332
URL:http://www.bizen-greenenergy.co.jp/

■ 関連リンク

(取材・記事:高橋真樹)

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