地域ぐるみで実現した「おひさまの町」づくり – おひさま進歩エネルギー

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太陽光パネルを設置した飯田市の鼎みつば保育園

太陽光パネルを設置した飯田市の鼎みつば保育園

■ 概要

事業社名:おひさま進歩エネルギー
本拠地:長野県飯田市
ステータス:実績あり

■ 設立の経緯と事業概要

おひさま進歩エネルギーは、長野県飯田市が環境省の「平成16年度 環境と経済の好循環のまちモデル事業(通称:まほろば事業)」に採択されたことをきっかけに、市民が中心となって地域に自然エネルギー導入を進める組織として2004年に設立されました。母体となったのは、地域のエネルギー自立に向けて取り組むNPO法人南信州おひさま進歩です。
このプロジェクトは、太陽光発電事業としては全国ではじめて市民出資の仕組みを適用したものになりました。また、地域全体でエネルギーに取り組んでいく事業としても全国で初めてとなりました。さまざまなステークホルダーと調整して、地域全体で自然エネルギー設備を増やしていく仕組みづくりなどの企画と立ち上げには、ISEP(環境エネルギー政策研究所)が全面的に協力しました。とくに2007年に立ち上げた市民出資を扱うおひさまエネルギーファンド株式会社は、市民出資の「生みの親」であるISEPが今も共同で運営しています。
公共事業の太陽光発電への屋根貸しと市施設のミニESCO(省エネ)事業を対象とした最初のファンドでは、環境省補助金以外の必要資金の全額2億150万円を市民出資で調達。その後も、毎年のように公共施設・民間施設に太陽光発電を導入するプロジェクトを実施しています。さらに2011年からは個人住宅が初期投資ゼロで太陽光パネルを導入できる「おひさま0円システム」を開始して、地域に着実に太陽光発電を普及しています。
こうした先駆的な活動が認められ、おひさま進歩エネルギーは地球温暖化の防止に顕著な功績のあった個人や団体を称えて表彰される「平成24年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を授賞しています。

■ 特徴

大きな特徴は、日照条件の優れた南信州のメリットを活かした地域密着型の「創エネ」「省エネ」事業だということです。おひさま進歩エネルギーと飯田市、ISEPを中心としたこの官民一体の地域エネルギー事業は、現在全国で行われている地域エネルギー事業のモデルとなっています。
この事業のユニークさは、おひさま進歩エネルギーを軸に、自治体と金融機関、地域の業者や公共施設などと連携していくことで、エネルギーというテーマを越えて、持続可能な町づくりが行われていったことにあります。例えば環境意識が高いことで知られる飯田市は、当時としては異例となる長期にわたる公共施設の屋根貸しを許可するなど、積極的なサポート体制を築きました。さらに飯田市は2013年の4月から「再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例」を施行しました。これは、再生可能エネルギー利用について環境を守り、地域社会にメリットがもたらされることを第一義に掲げた画期的な条例です。「地域環境権」をキーワードにしたこの条例に見られる市の姿勢も、地域に自然エネルギーを普及する原動力となっていることは確かです。
また、おひさまエネルギーファンド株式会社を通じて、全国の市民から市民出資を集めるという手法も、全国の多くの人が関心を向け、エネルギー事業に参加するきっかけをつくりました。「お金の見える化」をテーマにした、出資した人を対象とした設備見学ツアーなども人気を集めています。

■ 設置設備について(2013年7月末現在)

発電しているかがわかるようになっているボード。パネルを設置した明星保育園にて。

発電しているかがわかるようになっているボード。パネルを設置した明星保育園にて。

2004年から2013年までに設置した南信州地域での太陽光発電設備の全設置ヶ所は268ヶ所、設置容量は合計で約2600キロワットになります。公共施設や企業、戸建て住宅など様々な規模の設備を設置しています。また、公共施設や民間企業への省エネアドバイスなども実施しています。

■ 今後の展望

2012年度には、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活かした「地域メガさんぽ おひさま発電所プロジェクト」を実施しました。今後もそうした取り組みを検討しつつ、地域のエネルギー自立をめざして活動する予定です。

■ ステークホルダー

  • 関連組織:NPO法人南信州おひさま進歩
  • 関連組織:おひさまエネルギーファンド株式会社
  • 国:環境省、経済産業省等
  • 地方自治体:飯田市ほか地方自治体
  • 金融機関:飯田信用金庫、八二銀行など

■ プロジェクトのキーパーソンから

おひさま進歩エネルギーの原亮弘さん

原亮弘さん(おひさま進歩エネルギー株式会社代表取締役)

”私たちは、「省エネ」と「創エネ」の2本柱を軸にして、循環型社会をめざしてやってきました。今後はそこに「蓄エネ」も加える予定です。地方には、まだ使われていいない資源がたくさんあります。そうした地域のエネルギーを地域のために活用していくことが、雇用を生み、安全な暮らしをつくることにもつながります。
昨年7月、再生可能エネルギーの拡大を目指してFIT(固定価格買取制度)がスタートしました。その効果は、特に太陽光発電において予想を超える数字になっているようです。そのことは評価できますが、果たして得られる価値が地域に還元される取り組みになっているでしょうか。長野県飯田市では、今年4月に条例を制定し、「地域環境権」としました。そこでは再生可能エネルギーで得られる利益は、第一義に地域住民にあるとしています。これからの再生可能エネルギー利活用の姿がそこにあるように思います。”

■ お問い合わせ

おひさま進歩エネルギー株式会社
〒395-0044 長野県飯田市本町2-15
TEL: 0265-56-3711
FAX: 0265-56-3712
URL: http://www.ohisama-energy.co.jp/

■ 関連リンク

NPO法人南信州おひさま進歩 http://www.ohisama-shinpo.or.jp/
おひさまエネルギーファンド株式会社 http://www.ohisama-fund.jp/
おひさま進歩スタッフブログ http://blog.canpan.info/ohisama-shinpo

(取材・記事:高橋真樹)